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日本企業のグローバル人材育成システムの方向性とその課題

2014/05/21

2008年末のリーマン・ショック以降、「グローバル人材」への需要とそれに関連する議論が増大している。すなわち、日本企業のアジア新興国を含む海外オペレーションの拡大が見られる中で現場では、そのオペレーションを担当する専門家や責任者の不足が発生している。

そこで、本稿では、グローバル人材の需給バランスの動向、グローバル人材のうち特に日本人海外派遣者に必要とされる資質やスキルの現状、さらにはその育成上の諸課題について筆者らがこれまでに実施した調査結果を用いて検討した。

その結果、コンプライアンスの尊重や真面目さ、さらには責任感や倫理観という特質は日本人派遣者の長所として特筆できることが明らかとなった。しかし他方で、とりわけミドル・マネジメントとして派遣されている日本人派遣者は同レベルの現地人と比べて、業務遂行能力、リーダーシップ能力、部下育成能力等において劣ると直属の部下から指摘されていた。旧ASEAN諸国ではとりわけ厳しく、トップ・マネジメント層までが厳しい評価となっていた。これらは、語学力不足を超えて、日本人派遣者が多くの業務上の課題を抱えているのみならず、現地スタッフのモチベーションの維持、人材の採用・確保においても厳しい状況にあることを示唆している。

日本人海外派遣者には、各種のリーダーシップ能力や異文化適応能力等のコンピテンシーを高めるべく、中長期の教育訓練計画とキャリア設計が必要であるが、同時に、本社では外国籍スタッフの主要部門での活用や、現地スタッフの能力をよりグローバルに活用するシステム作りが求められている。

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