経営戦略
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古来、大震災は「世直し」と深い関係を持っていた。祖霊や怨霊の眠る大地が震え、津波や噴火がそれまでの人々の営為を灰燼に帰してしまう大地震は、現世を司る王やその政治が行き詰まっていることを現世の人々に知らせる事象でもあり、革命を誘うシグナル(天意の発顕)としても理解されてきた。
そのような人々の認識・世界把握の在り方について丸谷才一の『忠臣蔵とは何か』を引きながら、貞観震災、宝永震災、安政震災等を事例に考察を行う。
また、現代人もまた認識の古層にこのような因果関係を感ずる回路を持っていることについて、村上春樹の短編『かえるくん、東京を救う』を引きながら考察を行う。
そのうえで、近代の事例として関東大震災と阪神・淡路大震災(以下、阪神大震災)、東日本大震災の類似性などを考察する。特に関東大震災について、それがロシア革命や第一次世界大戦後の世界秩序の再構成にあたった時期の震災であり、大戦景気のバブル、その破裂による社会的格差の拡大など、阪神大震災や東日本大震災を考えるうえで極めて類似性の高い社会背景の中での震災であったこと、その時点での民衆の悲願が『閥族打破、憲政擁護』というものであり、3つの震災に官僚支配打破という共通する人々の願いがあった事を析出する。
さらに、人々のもうひとつの願いである現体制(資本主義体制)の打破という願いについて、柄谷行人の「資本・ネーション・国家の三位一体体制」を絡め考察し、関東大震災後はそれが国家を軸とした方向に歴史展開したことを論じ、むしろ現在の<帝国>的現実の中では、世界市民的な連帯の萌芽もある中で、資本を軸としてこの三位一体体制を乗っ取り・飼い慣らしていく方向にこそ未来があることを示唆する。