経営戦略
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中小企業の収益力は低迷が続き、大企業との格差は拡大傾向にある。輸出の増強を通じて海外経済の成長の恩恵を享受しやすい大企業と比較して、中小企業は個人消費等伸び悩みが続く国内需要に依存している度合いが強いこと等が背景にある。バブル期に積み上げた過剰借入の圧縮をこれまで進めてきた結果として、投資不足が中小企業の収益力向上を阻んできた可能性が高いことには留意する必要がある。
中小企業の財務体質はかなり改善しており、融資を担う金融機関の財務安定化や制度面での方針転換もあって、中小企業金融の安定度も高まっている。中小企業は、バブル崩壊後の長く続いたバランスシート調整を概ね終え、新しいフロンティアの開拓へ向かっていく体制が整いつつあるといえる。中小企業の先行きを占ううえでは、国内外のマクロ的な環境変化よって生まれてくる新しい需要を、中小企業がその持ち味を生かしていかに捉えていくかがポイントになるだろう。
中小企業が新しい需要を捉え付加価値創出力を高めていくためには、それぞれの企業が自らの経営力を強化していくことが前提となる。中小企業の経営力強化に特効薬はなく、企業経営者、取引金融機関、働き手それぞれが自助の精神に基づいてやるべきことをやるしかない。政府はそうした努力を後押しすること、そうした努力を促す条件整備を進めることに専念するべきだ。中小企業が、小粒でも得意分野で独自の存在感を発揮し、新たな需要のフロンティアを拡大させることができれば、日本経済の先行きも明るいものとなるだろう。