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わが国における政府調達制度改革の在り方

2010/10/01

 政府調達に関する改革については、従来より適正化の観点から競争入札の徹底等を中心として取り組まれており、民主党政権においても取り組みが継続されているが、新たな政府調達の方式について検討したり、物品や単純な役務の調達だけでなく、PFI、指定管理者制度、市場化テストといった公共サービスのアウトソーシングも総合的に検討する、等といった動きが見られるようになっている。
 このような方向性の議論は、状況に応じてより効率的な政府調達手法が選択できるようになる、という観点から望ましいと考えられる。しかしながら、日本の状況を鑑みると、法制度として整備されても、必ずしも新たな政府調達手法が活用されていないのが現状である。
 そこで本論文では、政府調達の中でも特に課題が多いと考えられる市場化テストといった公共サービスのアウトソーシングを中心に、政府調達方式の柔軟な選択の障害となっている課題を提起したうえで、英国での取り組みを参考に、その解決策について検討した。
 その結果、以下のような対応策を提案している。
 まず、各省庁による自発的な取り組みを促進するため、トップダウンによる効率性向上に関する目標を設定するとともに、英国の総合予算方式のように適切な政府調達を選択し、効率化を高めることのインセンティブを与えることが有効と考えられる。また、余剰人材の措置やサービスの質の確保のため、TUPEやERSPを参考にして、従来のサービスを担当してきた余剰人材の受け手を拡大するとともに、こうした人材を有効活用するといったことが考えられる。さらに、新しい政府調達手法の活用にともなう各府省の負担を軽減するため、政府調達室を設置し、各府省の支援、各府省の連携を促進することも考えられる。
 本論文では、現在の政府調達における問題を提起することに主眼を置いている。引き続きこうしたテーマに取り組み、次回ではより具体的な対応策について検討することとしたい。

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