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セレンディピティとMOT

2009/07/01

 お客さまからの質問、友人との会話、旅先での経験、あるいは日々の業務、そういった何気ない日常生活の中に、ひらめきのヒントがたくさん隠されている。そうした『偶然』をとらえて幸運に変える力をセレンディピティと呼ぶ。
 本論文では、セレンディピティとは何かについて、研究分野や事業分野の事例をあげて解説を行う。ピーター・ドラッカーが喝破したように、事業の成功においては、想定外の顧客が、想定外の使い方をすることがきっかけになったりする。だからといって単に幸運を待つのではなく、想定外の出来事をすくい上げる仕組みこそ必要なのだ。それこそセレンディピティを活かす道なのである。
 百年に一度といわれる経済危機、グローバル化の進展、国内における少子高齢化の進展、あるいは世界的な規模での産業構造の変換期にあって日本企業の抱える課題は何か、その課題を解決すべく人材を育成するうえで期待されるMOT(技術経営)教育はどうあるべきか、事例とともに解説する。技術を利益に変えるという視点でMOTをとらえ、技術者に必要な素人発想・玄人実行の考え方を活用して製品コンセプトの創造をすることの必要性を説いている。セレンディピティを活かすためには、幅広い技術分野はもちろん、見えざる顧客も含めて市場の変化にも絶えず注意を払って情報を収集する必要がある。そうした変化の予兆をとらえ、製品のコンセプトを自ら創造する力をつけることが、これからの日本企業にはますます重要になってくるのだ。セレンディピティを活かせるかどうかは事業化のうえでも極めて大切なのである。

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