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環境経営のフロンティア

2009/07/01
佐野 真一郎

 気候変動・地球温暖化という地球規模の環境問題の顕在化により、企業を取り巻く環境は大きく変化している。そのような市場変化に合わせて、企業における「環境」の位置付けと取り組みも変化し始めた。“環境対応は規制を遵守するためのコストである”という従来の考え方から、“環境対応に戦略的取り組むことでさらなる成長を遂げる”という考え方へとシフトしているのである。
 このシフトをもたらした主な要因は、企業活動に影響を与えるステークホルダーの認識の変化である。生活者の環境意識は高まり、「価格・機能・デザイン」と同様に「環境」も購買時の評価要素となった。環境分野の成長を期待する投資家が増え資金が流入することで、ベンチャー企業でも技術革新が進んでいる。これまでの環境政策は汚染物質の規制が主だったが、大企業から中小企業への環境技術移転、消費者のより環境に優しい製品の購買、などを促進するインセンティブを与え始めた。
 エネルギー、水、資源循環など今後の伸びが期待されるビジネス分野において、一部の日本企業は高い技術力をベースとした地位を確立している。しかし、総じてみると、欧米企業に取り残されつつあるという流れも見えてくる。
 その一方で、トヨタのように「環境」を本業に取り込み、フロンティアとして新たなエコカー市場を創り出すことで、さらなる成長戦略を描いている日本企業がいる。「環境経営」とはまさに、環境対応と経済活動を両立するだけでなく、「環境」を取り込むことでビジネスを成長させていくことである。

サステナビリティ戦略部
プリンシパル
佐野 真一郎

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