経営戦略
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日本はODA大国として、世界第5位の規模の援助を無償資金協力、技術協力、借款という形態を通じて開発途上国の社会経済の発展を支援している。このうち技術協力については、日本の農業、工業、インフラ、エネルギー、教育、行政システムなどの個別分野の発展経験をベースに技術移転への協力が実施されている。欧米から一歩遅れて経済発展と工業化を果たしたアジアの国である日本の発展経験には途上国から高い関心が寄せられており、これまでの日本によるさまざまな分野での技術協力は高い成果を上げてきている。
しかし、日本の開発援助で行われている技術協力は既存の技術を移転する、というスキームで実施されているが、開発途上国の技術レベルなどの実情に適した適正技術開発、気候・土地・風土に適した適地技術開発、現地で得られる材料なりを活用した応用技術開発など研究開発が必要な場面が少なくない。このためには、研究開発と技術開発が必要であり、そのための研究開発投資を組織的に強化する必要がある。
また、昨今の途上国援助のあり方について欧州諸国の間では「アンタイド化」(専門家・機材・設備や工事業者の調達については国籍制限をしない)の意見が強く、技術協力に関しても、調達先の国籍を限定しないことの合理性が論じられているが、これは日本独自の経験に基づく技術移転という考えに対立するものである。
日本は技術立国として、技術による国際貢献を推進するべきである。世界が求める技術は必ずしも高度な技術だけでなく、低コスト、低環境負荷、あるいはメンテナンスが容易な技術などが状況によって必要であり、そのために開発援助のための研究開発および技術開発に取り組み、日本による特徴的な技術協力を展開すべきである。