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「異質な相手」とのコミュニケーション能力

2009/04/01
名藤 大樹

 産業構造の変化を受け、労働者が仕事上の成果を出すために必要な能力のうち、重要性の高い能力もまた変化している。各種の能力の中でも「コミュニケーション能力」は近年特に高い重要性が指摘されているが、本稿では、とりわけ「異質な相手」を対象とした際のコミュニケーション能力に焦点を当てる。(「異質」という言葉は、自分とは価値観や行動様式の異なるという意味で用いている)
 日本企業は、海外進出のみならず、M&Aの増加や非正規社員の増加などの現象に晒されており、組織内の広いメンバーにこの能力が要求されるようになっている。この能力の開発や活用は、中長期的に見た場合に働く側、人材を活用する側の双方にとって、大きな課題となるであろう。
 「同質的な相手」の場合と比較して、「異質な相手」を対象とするコミュニケーションにおいては、相手への洞察力を持つこと、ステレオタイプに捉われないこと、感情のコントロール力を持つことなどが特に重要になる。個人として、こうした点に注意することが、能力向上の第一歩である。なお、日本企業の組織的特徴として強い同調圧力があり、この点が、この能力の発露や伸長を阻害しかねない特徴を持っているということは、個人としても組織経営者としても強く心に留めておくべきである。「異質な人材」を組み合わせて活用したいと考える企業は、組織としての運営原理を「異質同士」のメンバー構成を前提としたものに切り替えていく事も検討が必要である。

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