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世界経済バブル崩壊後の日本の課題

2009/01/01
鈴木 明彦

 2002年初から続いていた戦後最長の景気回復は、国内において設備や雇用の過剰問題が解消すると同時に、世界経済が高成長を続けてきたことに支えられて実現した。しかし、米国の過剰消費と巨大な経常赤字を前提にした世界経済の高成長は、やがて世界経済バブルに変貌しはじけた。バブルの恩恵を受けていた日本経済もショックとも言うべき調整を余儀なくされている。
 しばらくは、米国の個人消費の低迷といった世界経済バブル崩壊のショックが続くが、その後も日本経済を取り巻く環境は厳しい。世界経済の成長率が鈍り、輸出に依存してきた企業活動は2000年代半ばのような活況を取り戻すことは難しい。また、少子高齢化が進み人口が減少するもとでは、個人消費など家計部門の経済活動は一段と低調になってくるだろう。安心・安全社会の構築という役割を担う政府も財政構造の悪化に直面して、このままでは十分な役割を果たせそうもない。
 日本経済に課せられた課題は大きい。まず、世界経済バブル崩壊後の国際貿易・国際金融の新たな枠組みの構築に積極的な役割を果たすことが求められる。また、世界経済の成長率低下を前提に日本経済の成長戦略を練り直さなければならない。さらに、国内では、企業と個人との関係を考え直す必要がある。経済成長が国民の豊かさに結びつかなくなり、家計は疲弊してきている。同時に、国民に対して安心・安全な生活基盤を提供するという政府の役割とそれを実現するための税金などの負担について国民的なコンセンサスを形成していくことも重要な課題だ。そのうえで、経済成長のための新たなフロンティアの構築に取り組むことになろう。

調査部
研究主幹
鈴木 明彦

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