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日本の金融機関はグローバリゼーション3.0に挑戦できるか

2008/07/01

 日本の金融機関は、成長を求めて再び国際市場へ眼を向け始めた。しかし、世界の金融市場は、性質を変えている。70年代に、日本企業の海外進出の後を追って、外為業務と現地進出日系企業へのファイナンスを提供したり、成長株日本を外人投資家に販売していたのは、グローバリゼーション1.0の時代であった。80年代に、バブル資産を背景に、日本マネーを軸に、日本企業や世界企業にコマーシャル・バンキングサービスや、国際シンジケートローンを提供して、欧米証券市場で、日系企業の証券発行をリードし、世界で債券運用のブックを回していたのは、グローバリゼーション2.0の時代である。いずれの時代の戦略に戻ろうとしても、21世紀の日本の金融機関にとっての答えはない。
 新しい世界は、グローバリゼーション3.0への挑戦である。グローバリゼーション3.0の段階は、日本の経験と強さを生かしつつも、海外市場での現地化を深く進め、非日系顧客をも対象とし、M(マーチャントバンキング)、A(アセットマネジメント)、R(リテールバンキング)、S(システムバンキング)の4つのビジネスを主眼とする「MARS」の戦略への挑戦である。地域的には、特にアジアがホット・スポットである。
 グローバリゼーション3.0の追求には、日本の強みに自信を持ち、それを日本と離れて世界の現地の顧客にも提供し、経営者が地球的視点を持って行動することが求められる。
 サブプライム問題による欧米金融機関の株安と円高は、日本の金融機関が買収戦略を遂行するチャンスである。日本の金融立国と、金融機関の成長のために、グローバリゼーション3.0とMARS戦略に果敢に挑戦するときである。

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