経営戦略
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金融市場のグローバル化の中で、日本や大陸ヨーロッパ諸国の企業は株主からの未曾有のプレッシャーに晒され、株主価値への譲歩を迫られている。しかし、企業は株主との関係以外にも、その競争力を根本的に規定する他の多くのステークホルダーとの関係を持つ存在である。とりわけ人的資本の重要性が高まる今日、労働者との関係を無視して、一元的に株主価値最大化へと流れていくことが得策とは考えられない。このように考えると、日本企業や大陸ヨーロッパ諸国の企業が人的資源管理を含むすべての面においてアングロ・アメリカ的な企業へと転形していき、一国の経済システムや社会システム全体がアングロ・アメリカ的に転形していく必然性はない。他方、現在行われているさまざまな研究によって、市場そのものが、必ずしも狭い意味での経済的合理性を追求する場ではないことが認識されつつある。グローバルな金融市場もその例外ではないだろう。地球規模の環境問題や企業の社会的責任などがクローズアップされる中、今後は市場活動そのものも狭い経済合理性を超えた社会的価値を反映する方向に変化していく可能性がある。このような中で、日本企業は明確な価値観を持って、株主からの圧力と高度な人的資本を持った労働者の貢献を両立させる道を模索し、当事者意識の高い労働者という貴重な資源を十分活用する知恵を示すべきである。