経営戦略
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本稿では、地域社会ぐるみで、高齢者の健康維持を行っていく方向性を提案する。近年、健康維持を行うためには、個人の健康決定要因を対象とした働きかけだけでなく、地域の健康決定要因を対象とした働きかけも重要であることが提唱されている。この背景には、個人の健康が本人の生物としての要因だけでなく、その人の生活する学校や職場、地域社会といった社会的な要因からも影響を受けていることが、近年の研究により明らかになってきたという流れがある。
健康に影響を及ぼす社会的要因には様々なものがあるが、本稿では特にソーシャル・キャピタルに着目する。ソーシャル・キャピタルは、地域住民の間の信頼感や互助意識に基づく人的つながり等を指す概念で、これが個人ではなく地域固有の性質としてそこに蓄積されているという見方である。これまでも、地域社会のソーシャル・キャピタルを有効利用することにより健康向上を図ろうとする活動が自然発生的に行われてきたが、散発的であったといえる。しかし、今後、このような活動を少数の例外的事例から、より広範に多くの地域で行っていくために、行政としてこのような地域活動を直接支援し円滑化していくことが求められるのではないだろうか。本稿では、韓国の敬老堂、山梨の無尽、愛知県武豊町の介入研究の例を参考にしながら、その実現可能性や有効性について考える。