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安心・安全社会に向けたIT活用イノベーション

2008/04/01

 “安心と安全”、この言葉を新聞紙上で目にしない日はない。そして、それを切望しない人はいないであろう。
 しかし、「日本は安全で安心して暮らせる国」という神話は崩壊して久しい。災害、犯罪、食品の安全、医療過誤など、“安心と安全”を脅かす問題は増加の一途をたどっている。我々の“安心と安全”にかかる問題の予防や解決のために大きな役割を果たすと期待されているのが、IT活用である。
 例えば、災害対策としては、災害予知のための情報収集、市民への情報提供、広域連携システムの整備などを国や自治体が進めている。防犯・安全対策としては、児童の登下校見守りシステムや単身高齢者支援、Web2.0技術を用いた自治体の不審者情報共有システムなどがある。また、食品の安全性のためには、農水産物・畜産物のトレーサビリティシステムがある。医療分野では、電子カルテ、遠隔医療、医療情報の連携活用などがあり電子タグ、センサーネットワーク技術など先進医療技術の利用による医療事故防止システムの開発も行なわれている。また、医師不足問題解消のために、広域連携ネットワークの構築が進められている。
 このような多様な活用方法の中で、新たな動きとして特に注目されるのが、安心・安全に関するITを活用した学習(eラーニング)である。例えば、医療の専門知識・ノウハウ習得のための教育、災害発生に備えた防災教育など、活用が拡がっている。
 “安心と安全”の捉え方は多様だが、本稿ではIT活用(特にeラーニング)の視点から、“安心”については医療・看護やメンタルヘルスの分野、“安全”については防災や職場の安全教育の分野を中心に取り上げる。
 本稿では、医療・看護、メンタルヘルス、防災、防犯など「安心と安全」に関わる分野でのIT活用の多様なアプローチについて、事例を交えて紹介する。さらに、医療教育や防災予防教育など、各分野の「教育」の視点からIT活用を具体的に取り上げる。最後に、これからの「人にやさしいIT活用」のあり方を展望する。

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