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「江戸時代のWeb 2.0」の戦略的活用

2007/07/01

 ネットビジネス界で圧倒的な強さを誇るGoogleと本質的に似通った戦略を、江戸時代の日本社会は既に実践していた。日本企業には江戸期以来のその伝統が強みとして残っている。
 本稿の前半では、「江戸時代のWeb 2.0」ともいうべき現象をいくつか取り上げ、そのなかから、今後の企業経営に活用すべき強みとは何かを探る。現代のWeb2.0がインターネット技術を基盤としているのに対し、「江戸時代のWeb 2.0」の基盤は多神教や複合宗教の観念であり、まさに信仰に関連した集団である「講」をはじめとした人々の多種多様な紐帯(ちゅうたい)が、江戸時代に数々の優れたビジネスモデルを生み出していた。いくつかの事例からみいだした江戸由来の強みとは、「暗黙のうちに信頼感を醸成するメカニズム」であった。
 一方、「失われた15年」の間に、その伝統的強みが薄らいできた感がある。このままでは江戸由来の伝統的強みは失われてしまうかもしれない。また、日本企業の伝統的な弱みは、「危機的状況に置かれないと戦略的な思考や行動をあまり積極的に行わないこと」であると考えられる。前半で検討した江戸由来の伝統的強みと合わせて考えると、日本企業は、江戸由来の伝統的強みを戦略的に残す施策をとっていくことが重要であるとの結論を導いた。
 本稿の後半では日本企業が実践していくべき施策について検討した。日本企業は、企業組織の内外に紐帯を戦略的につくるべきであり、その具体的施策のアイデアをいくつかとり上げ、意義と留意点を検討した。

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