経営戦略
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本特集は公共経営を取り上げる。橋本内閣の中央省庁等改革、地方分権から始まった一連の行政改革は、小渕内閣・森内閣を経て、小泉内閣の諸改革へと受け継がれ、実行されてきた。その過程において、立法論的帰結として、いくつかの新たな制度が導入された。制度論的には、公務員制度改革関連など一部を除き、現状想定され得る行政改革のメニューはほぼ出揃ったと言えるのではないかというのが、ここでの現状認識である。問題の焦点は、「どのような制度を企画・立案するか」から「導入した制度をいかに運用し定着させるか」へ、いわゆる立法論から運用論へ移行していると考える。今回の一連の行政改革の実を挙げるためには、繰り返し強調される「官から民へ、中央から地方へ」を単なるキャッチフレーズに終わらせるだけでなく、その哲学を具体化し根付かせていくための運用面での努力が強く求められる。
翻って、改革後の公共経営の実態はどうであろうか。果たして、官に替わる、あるいは中央に替わる、新たな公共の主体は、真に実力を伴い、責任を全うする形で登場してきているのであろうか。本特集の副題を「新しい公共の担い手と公の責任」とした問題意識は、ここにある。導入された諸制度の運用面、つまり公共経営に関連して幾つかの課題が浮上していると考えるからである。
本特集では、このような公共経営の大きな転換期にあたって、新しい公共の実態を紹介するとともに、そこにおける運用上の課題、並びに課題の解決に向けた処方箋などについて、外部寄稿者及び三菱UFJリサーチ&コンサルティングの研究員・コンサルタントが、それぞれの立場において寄稿するものである。