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PFIにおける「需要リスク移転のパラドックス」を巡る考察

2007/04/01

 2005年8月、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」の一部を改正する法律が公布、施行された。この主な改正事項は「PFI(Private Finance Initiative)事業がサービス分野を対象とすることの明確化」等となっており、今後は運営業務やサービス分野の比重が大きいPFI事業が増加するものと考えられる。
 また、単にPFI事業だけではなく、「指定管理者制度」や「市場化テスト」等、従来は公的セクターのみが担ってきた公共サービスの提供を民間セクターにも開放するPPP(Public Private Partnership)は、今後もより拡大していくものと考えられる。
 一方、もともとPFIが発案された英国において、また日本においてもPFIの失敗事例が登場しており、これらの失敗の原因を見ると、「需要リスク」のあり方が大きな課題となっている。
 また、PFIの失敗事例から理解できることは、行政側がよりVFM1の高い民間事業者を選定しようとすればするほど、まるでパラドックスのように「需要リスク」を高めてしまうという、「需要リスク移転のパラドックス」の存在である。
 今後PFIを始めとして、指定管理者制度や市場化テスト等、様々な望ましい官民パートナーシップを実現していくためには、これらの「需要リスク」を中核とした失敗事例の原因を把握し、原因と推測される課題に対応していく必要があると考えられる。
 こうした背景のもと、本研究においては、①英国における「王立武具博物館」の事例、②日本における「タラソ福岡」の事例、という2つの失敗事例に焦点を当て失敗の本質的な原因を検討したうえ、失敗事例に学ぶ、PPPのポイントを探る。

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