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原油レポート No.139 中国の景気対策と原油相場

2008/11/17

1.原油市況~50ドル台前半に下落

原油相場(WTI、期近物)は、世界景気の低迷により石油需要が鈍化するとの観測が強まり、大幅に下落している。11月13日には一時1バレル=54.67ドルと昨年1月以来1年10ヶ月ぶりの安値をつけた。その後、米国の石油在庫の伸び悩みや、OPECが臨時総会の開催を発表したことなどから買い戻され、14日の終値は1バレル=57.04ドルであった。

最近の原油相場は、世界景気の先行き懸念から株式相場と連動する傾向が強まっている。目先はOPECの強調減産がさらに強化されるとの観測が下値を支えるとみられるものの、金融市場に明瞭な改善の動きがみられるまでは、原油相場の下落傾向が今後も続く可能性が高い。2009年にかけては、先進国での需要減少が相場に織り込まれる一方で、新興国の需要の底堅さが明らかになるにつれて70ドル台に戻す可能性があるものの、当面は世界景気が一段と悪化する中で50ドル台での推移が続く見通しである。

2.トピック~中国の景気対策と原油相場

中国政府は11月9日、総額4兆元(約56兆円)と大規模な景気刺激策を発表した。対策の内容をみると、住宅・インフラ建設などが柱となっているものの、個別の事業規模や新規投資額など詳細について現時点では不明である。

足元の中国景気については減速傾向が鮮明となっており、今回の政策対応がなければ2009年前半の成長率は8%を下回る可能性もあったとみられる。

そうした中で打ち出された今回の景気対策は、中国景気の下支えとなることが期待されるものの、成長率を大幅に加速させるまでには至らない公算である。原油市場でも欧米先進国の需要の落ち込みを埋め合わせるまでには力不足とみられ、2009年の世界の原油需要は微増にとどまる状況に変わりない。このため、目先の原油相場については、原油需要の一段の減少を織り込みながら、下値を模索する展開が暫く続く見通しである。

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