経営戦略
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1.原油市況~一時50ドル割れに下落
原油相場(WTI、期近物)は、11月中旬以降も下落基調で推移し、21日には一時1バレル=48.25ドルまで下落した。その後はやや値を戻し、28日の終値は54.43ドルであった。
年末あるいは年初にかけて、経済指標の悪化や石油需要の鈍化がデータとして示されるとみられ、原油需給の緩和観測が続く可能性がある。しかし、価格下落が続いたことや景気見通しが不透明なことを背景として、石油製品や原油の買い控えが起こったため、経済実勢や潜在的な石油需要に比べて足元の需給の緩みや価格下落は大幅になっている可能性がある。各国の経済対策などにより、景気の先行き見通しの悪化に歯止めがかかりつつあるとみられ、さらに原油相場が下落する可能性は徐々に小さくなりつつあるように見受けられる。当面は世界景気が一段と悪化する中で50ドル前後での推移が続くだろうが、2009年にかけて新興国の需要の底堅さが明らかになるにつれて相場は戻す可能性がある。
2.トピック~原油相場のボトムのタイミング
原油相場は下落基調が続いているが、一方で、原油先物の価格体系には期先高観測が生じてきている。もっとも、何をきっかけに相場が上昇に転じるかとなると答えは難しい。そうした中で、OPECの減産が相場を反転させるとの見方がある。
しかし、景気悪化が加速し、原油需要が大幅に下振れする局面では、市場の平均的な観測よりも、実際の需要の鈍化テンポの方が速いといったことがしばしば起こる。この需要の鈍化観測については、OPECが減産したところで歯止めをかけることはできないだろう。実際に原油相場が上昇に転じるのは、OPECの減産よりも、景気悪化に歯止めがかかり、石油需要が下げ止まってくることによる面が大きいだろう。
もっとも、石油需要の鈍化が先行きへの不安や景気への懸念により、潜在的な需要よりも下振れているのであれば、景気の先行きに対する悲観が和らぐことで相場水準が上昇する可能性にも注意を要するといえる。