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原油レポート No.141 金融危機と原油相場

2008/12/12

1.原油市況~40ドルに下落後持ち直し

原油相場(WTI、期近物)は下落基調で推移し、5日には一時1バレル=40.5ドルまで下落した。その後は持ち直し11日の終値は47.98ドルであった。

原油価格の低迷が油田開発を停滞させることが懸念されており、足元の原油価格は中長期的に需給を安定させる水準を下回ってきているとの見方が増えてきている。相場の先安感や景気見通しの不透明さを背景に、石油製品や原油の買い控えが起こり、経済実勢や潜在的な石油需要に比べ足元の需給の緩みや価格下落が大幅になっている可能性もある。もっとも、しばらくは実体経済の悪化を背景にした原油需給の緩和観測がなお強まる可能性がある。米国をはじめ各国政府の経済対策への期待が高まっているものの、景気指標の悪化などを受けて再び下値を模索する可能性がある。

2.トピック~金融危機と原油相場

IEA(国際エネルギー機関)は11日、2008、09年の世界の原油需要見通しを大幅に下方修正した。世界経済の成長率見通しが引き下げられたことによる。もっとも、世界的な景気悪化は日を追うごとに深刻化しており、中国をはじめ新興国の経済成長も減速の動きが顕著となってきた。

原油の需給見通しとその前提となる世界経済見通しは、今後の欧米の不良債権問題の進展度合いによってシナリオが全く異なってくることになる。抜本的な対応策がとられる場合には、2009年後半から緩やかな景気回復に転じる可能性も考えられるが、不良債権問題が短期間のうちに好転する可能性は低いであろう。世界的な景気悪化により、輸出拡大による成長を続けてきた中国についても、調整の動きがますます強まる公算である。

原油価格の低迷が油田開発を停滞させることが懸念されており、足元の原油価格は中長期的に需給を安定させる水準を下回ってきているとの見方が増えてきているが、今しばらく、実体経済の悪さを背景にした原油需給緩和観測が原油相場を下振れさせる可能性がある。

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