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原油レポート No.142 2008年後半の石油需給の変化

2008/12/26

1.原油市況~期近物が一時32ドル台まで下落

原油相場(WTI、期近物)は、12月15日に一時1バレル=50ドルまで上昇したものの、その後は大幅に下落し、19日には一時32ドル台をつけた。24日の終値は35.35ドルであった。

米自動車メーカーの救済案の審議が議会で決裂し、景気の先行き不透明感が強まったことや、OPECによる大幅減産が決定されたものの、原油需要の下振れ観測も根強かった。WTI原油の現物引渡し場所である米国オクラホマ州クッシングの在庫水準が大幅に増加したことも価格押し下げ材料であった。

しばらくは実体経済の悪化を背景にした原油需給の緩和観測がなお強まる可能性がある。米国など各国政府の経済対策への期待が高まっているものの、景気指標の悪化などにより下値模索が続く可能性がある。もっとも、低価格による油田開発の停滞が懸念されるなど、足元の原油価格は中長期的に需給を安定させる水準を下回ってきているとの見方が増えてきている。

2.トピック~2008年後半の石油需給の変化

2008年後半以降、世界経済の状況が急速に悪化する中で、各種エネルギー市況は大幅に下落している。原油価格の動向を天然ガスや石炭と比較してみると、特に原油価格の下落ぶりが目立つ。原油の価格変動が大きくなったのは、投機的な要因が大きかったことを推察させる。また、生産活動など実体経済の悪化に先んじて、石油の需給環境は悪化していった可能性がある。

世界景気の大幅減速を織り込んで、他のエネルギー価格や、石油製品価格の下落とともに、原油相場は大幅に下落してきたが、10~11月にはアジアにおける石油製品安に石油需給の緩和が顕著に現れていた。しかし、12月は米国の景気悪化に伴う石油需給緩和観測がWTI価格安の主因になってきている。米新政権の経済対策は、原油相場の動向にとっても非常に重要である。

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