経営戦略
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1.原油市況~中東不安により一時反発も再び30ドル台に下落
原油相場(WTI、期近物)は、12月19日に一時32.40ドルとほぼ5年ぶりの安値をつけたが、その後は、オバマ新大統領の景気対策への期待を背景とした株高と、イスラエルによるガザ侵攻により年明けにかけて上昇し、5日には48.81ドルと1ヶ月ぶりの高値まで上昇した。もっとも、その後は原油需要の減少懸念、金融不安の再燃による株価下落、パレスチナでの停戦など弱材料が相次いだことから反落し、20日には一時32.70ドルと1ヶ月ぶりの安値まで下落した。
米国など各国政府の経済対策への期待が高まっているものの、景気指標の悪化などにより下値模索が続く可能性が高いであろう。足元では米国、欧州で金融機関への公的資金注入、大規模リストラ策発表、大幅赤字決算などが相次いだことから金融不安が再燃していることも、株価への連動傾向を強める原油相場の抑制要因となっている。もっとも、低価格による油田開発の停滞が懸念されるなど、足元の原油価格は中長期的に需給を安定させる水準を下回ってきていることは確かであろう。
2.オバマ新政権のエネルギー・環境政策
発足したばかりのオバマ新政権は、エネルギー・環境分野に意欲的な取り組みを示している。とりわけ注目されるのは、地球温暖化対策、再生可能エネルギーの利用促進、排出権取引制度の創設である。
もっとも、金融、経済、外交面で当面の課題が山積しており、エネルギー・環境政策については、今回の景気対策に環境投資が一部盛り込まれたものの、具体的な政策対応が立ち上がるまではしばらく時間がかかる見通しである。
商品市場全体への影響についても、今のところ景気対策が非鉄相場の買い材料とされているものの、むしろ需要減退観測による売り圧力が大きく、相場への影響はほとんどあらわれていない状況である。中長期的にはエネルギー需給を大きく変化させる可能性があるものの、目先の相場への影響は限定的なものにとどまる見通しである。