経営戦略
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1.原油市況~40ドル前後の推移が続く
原油相場(WTI、期近物)は、1月に入って40ドル前後の推移が続いた。12月までのような下落トレンドではなくなっているが、価格変動率はかなり大きい。
今後も、実体経済の悪化を背景にした原油需給の緩和観測は続くだろうが、一方で低価格による油田開発の停滞が懸念されるなど、足元の原油価格は中長期的に需給を安定させる水準を下回っているとの見方も根強い。昨今、発表されている各産業における減産や工場の稼動停止は石油需要を減らす要因になろうが、一方で先行きが不透明なため石油を含めて原材料の購入は過度に手控えられた可能性がある。そうした中、一部には、原油や石油製品の今の価格水準を割安とみた買いが出始めていると見受けられる。景気の先行き見通しが一段と悪化するようなことがなければ、原油在庫が増加傾向にあっても、原油相場は底堅く推移する可能性がある。
2.在庫が増加しても底堅い原油相場
原油相場は、12月までのような下落トレンドではなくなり、40ドル前後で推移するようになっている。現状をみると、原油先物(WTI)の現物引渡し場所である米国オクラホマ州クッシングを中心に米国の原油在庫の大幅な増加が続いており、需給緩和を指摘する見方も根強い。しかし一方で、原油先物市場において期近物の価格よりも、その1年先物の価格は2割も高くなっている。1年経てば、2割も価格上昇が見込まれるのであれば、原油の現物(在庫)を保有することによる投資収益率は非常に高いのである。市場の平均的な見方のとおりの先高感を持っていて、原油を貯蔵するタンクにも困らないのであれば、原油の現物を買って在庫として保有するという行動が出てきておかしくない状況といえる。
原油の在庫が大幅に増えても原油相場が底堅いのは、原油の在庫を保有することが有利だという見方が増えてきているからではないだろうか。