経営戦略
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1.原油市況~2ヵ月ぶりの安値
原油相場(WTI、期近物)は、OPECの減産観測が強まった1月下旬以降は40ドル台で推移していたが、2月に入り欧米の金融システム不安から金融市場の動揺が強まったことから下落傾向が鮮明となり、12日には33ドル台と2ヵ月ぶりの安値をつけた。
世界経済の低迷が長期化する懸念が高まっており、原油需要についても一段の下ぶれリスクがある。もっとも、原油需要の減少を連想される材料には相場は反応しにくくなっており、現在の相場水準に相当程度織り込まれてきたとみられる。実際、ブレントやドバイなど、WTI以外の油種については、年明け以降は下げ止まり傾向が鮮明になっている。欧米の金融機関の経営不安から金融市場の動揺が強まっていることから、目先の原油相場はもみ合いが続く可能性があるものの、中国の景気対策が本格化する春以降は、徐々に下値を切り上げる可能性がある。
2.WTIの指標性
WTI先物相場は依然として下げ止まりの兆しがみられないものの、商品相場全般については底入れの兆しが出てきている。また、原油相場もドバイやブレントなどWTI以外の油種では比較的底堅い動きが続いている。
WTIだけが下げ止まらない背景には、米クッシングの在庫が急増している問題が広く知られている。クッシング要因でWTI相場が他の油種と異なる動きを示すことはくり返し指摘されてきた問題であるが、足元の動きはWTIの独歩安が目立っており、IEA(国際エネルギー機関)は、WTI相場がクッシング要因の影響を強く受けることで相場形成にゆがみが生じていると批判し、相場の指標性に疑問を呈した。
WTIの指標性が疑問視される中、他の油種で下げ止まりがみられることから、クッシング要因が解消されれば、WTIも徐々に下値を切り上げる可能性があろう。