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原油レポートNo.146 調整圧力が残る石油市場

2009/03/11

1.原油市況~下落に歯止め

原油相場(WTI、期近物)は、2月後半以降、上昇している。米国を中心に景気下振れ懸念は続いているものの、中国の景気対策により需要が下支えされるとの見方、米国週次石油統計において原油在庫の水準が予想を下回ったこと、OPECの追加減産観測などが材料とされた。

OPECの追加減産については、余剰生産力を拡大させ、加盟国の足並みの乱れが広がる可能性もあり、必ずしも原油価格を押し上げるとは限らないが、荷余り感による現物や期近物の価格抑制圧力を弱める効果はあるだろう。急速な景況感の悪化が一巡してくると、先行き警戒感から抑制されていた企業活動がある程度は持ち直し、石油化学関連需要や輸送用燃料も一部は回復するだろう。中国等の景気対策の効果もあって、原油相場は、徐々に下値を切り上げていく可能性がある。

2.調整圧力が残る石油市場

日米のガソリン価格が上昇している。ガソリン価格の変動には、ナフサ需給の変化が影響した可能性がある。石油工業の原材料であるナフサの価格は、一時、原油よりも安くなっていたが、このところ持ち直してきている。石油化学プラントの稼動再開や、アジアや中東の製油所での減産などにより、需給バランスがやや引き締まったからである。ナフサはガソリンと似た成分であるため、価格が連動しやすい。ナフサ価格が持ち直すにつれ、ガソリン価格も持ち直してきている。

一方で、軽油など中間留分の需要は、緩和した状態が続いている。北半球の冬場は暖房向けを中心に中間留分の需要期であるが、新興国に立地する工場の稼働率低下や物流の停滞などが、燃料需要の減少につながったと考えられる。中間留分も減産されているが、中間留分の在庫は高水準にとどまっている。今後、遅れている中間留分の調整が進む中で、石油市況全般が持ち直すことが考えられる。

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