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原油レポートNo.147 需給バランスに改善の兆し

2009/04/01

1.原油市況~4ヶ月ぶり高値となる50ドル台に上昇

原油相場(WTI、期近物)は、2月13日につけた1バレル=33.98ドルをボトムに反発に転じ、3月26日には、54.34ドルと昨年11月以来4ヶ月ぶりの高値水準を回復した。ドル安やOPECの追加減産期待などを材料に、原油相場は1ヶ月半の間に7割も上昇したことになる。

OPECが大幅減産を実施していることは、需給悪化懸念が残る足元の相場に対しては、需給バランスの改善期待を通じて押し上げ効果を持つとみられる。一方、欧米の金融システム不安が再燃し、金融市場の動揺が強まる場合には、相場は再び下値を試すとみられる。もっとも、しばらくは、リーマン・ショック以降の強い先行き不透明感により、過度に抑制された企業活動が徐々に持ち直し、需要も回復する公算である。中国等の景気対策効果も期待され、原油相場は50ドルをはさんで推移する見通しである。

2.需給バランスに改善の兆し

世界の原油の需給バランスをみると、原油需要の大幅な減少により、昨年10~12月期に114万バレル程度の供給超過が発生していた。ここで、需給に影響を与える要因をみると、需要側では原油需要の予想を上回る減少が続いている。同時に供給側についても、OPECが大幅減産を高い遵守率で機動的に実施していることや、ロシアやアゼルバイジャンなどの非OPEC主要産油国の生産が低迷しているため、大幅な供給減少が続いている。この結果、経済の極端な落ち込みが警戒されているにもかかわらず、足元の原油在庫の増加は、アジア経済危機などと比べ限定的にとどまっている。

需要の基調の弱さは、供給の減少分だけで補いきれないのは確かである。もっとも、年央以降、原油在庫が減少に転じるとの見方も指摘され始めており、OPECが追加減産を見送った後も、相場の地合いは底堅い。今後も、需給バランスの改善が相場を下支えする可能性が高いとみられる。

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