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2008/2009年世界経済見通し(2008年7月)

2008/07/24

~新興国の台頭とインフレ圧力の高まり~

○【2008年後半~09年の世界経済】世界経済はなお力強い成長が続いている。2008~09年の成長率は4%程度と、2006、07年の5%から減速するものの、巡航速度である3%を上回る高成長が続く見通しである。先進国と新興国のデカップリングは2000年代に入り顕著にみられる傾向となっており、今後も新興国が世界経済のけん引役となる構図が続くことになろう。

○【台頭する新興国】足元では、原油価格の上昇や金融引締めにより、新興国の経済成長の持続性が懸念されている。新興国経済の強さは、中国の高成長と資源価格の高騰を背景とする資源国経済の好調によるものである。このうち、中国の消費ブームやインフラ投資は、今なお勢いにかげりがみられない。また、資源国のマクロ経済動向をみると、これまでの資源価格上昇による所得拡大を背景に、内需が力強さを増している。欧米やアジアの非資源国についても、新興国向け輸出の拡大が景気を下支えし、底堅い推移が続く見通しである。

○【インフレ・リスクの高まり】最大の懸念は原油価格上昇に歯止めがかからないことである。原油価格の水準が前年比2倍に上昇するペースが続く場合、2009年の世界の経済成長率を1.5%程度下押しすることになるとみられる。世界の金融当局はすでに相次いで金融引締めに転じているが、景気の足取りが重い米国は、据え置き姿勢を維持している。このため、ドル安傾向に歯止めがかからず、原油相場を一段と押し上げることにより、世界経済のインフレ・リスクを高めている。

○【政策面での対応】インフレ・リスクが高まる中、原油価格上昇の一因がドル安にあることから、欧米の金融当局が政策協調への道筋を示すことに期待が高まっている。このため米国に金融引締めを求める声が今後徐々に強まるとみられ、米FRBが利上げに転じる可能性が考えられる。またドル安に歯止めをかけるため、為替市場で協調介入を実施する可能性もあろう。その場合には、米国の利上げはドルの一段の下落を抑制することになり、原油価格は一旦は反落する見通しである。原油価格が安定すればインフレ回避の道筋が見えることになろう。

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