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原油価格の上昇と世界経済 ~2011年の世界経済見通し~

2011/04/19

○2011年の世界経済は、新興国の高成長が続き、アメリカやヨーロッパでも景気回復が鮮明になるため、成長率の高い局面が続く見込みである。

○世界経済の成長リスクは原油価格の上昇である。中東情勢の混乱を背景に原油相場が急騰している。原油相場が1バレル=10ドル上昇する場合、世界経済の成長率は0.5%低下する。足元の原油相場は110ドル程度で推移しているが、中東情勢が悪化しない場合、先進国の原油需要の低迷により、原油相場は先行き反落する可能性が高いであろう。メイン・シナリオの原油相場は年平均90ドルであり、世界経済は5%成長が見込まれる。原油相場の高値が定着するケースでは成長率は4%程度に低下するものの、不況ラインである3%を十分に上回る公算が大きい。もっとも、中東情勢が一段と混迷し原油相場の上昇が続く場合には、景気後退リスクが高まることになろう。

○メイン・シナリオによると、アメリカでは高所得層の消費が拡大し、高い失業率と個人消費の拡大が並存する。ヨーロッパは財政危機の深刻化が懸念され、グローバルな景気回復の連鎖が最も弱い地域である。それでも、ドイツを中心に全体的な景況感は改善が続く。中国はインフレへの対応が課題となる中、昨年までの急成長は一服するものの、依然として高成長局面にあることにかわりない。

○ただし、時代を取り巻く不透明感は非常に強い。中東情勢の混迷、東日本大震災での未曾有の被害と原発事故、欧米の金融政策の出口戦略、膨張する各国の財政赤字とドル機軸体制の行方、新しい金融のあり方など、先行きを見通しづらい要因が山積し、手放しに楽観できる状況ではない。アメリカと中国を中心に自律的、循環的な回復メカニズムが続くため、マクロ経済環境は比較的良好であるが、新興国市場をめぐる各国企業の熾烈な競争により、業界地図が大きく塗り変えられる動きが続くことになろう。

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