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日本経済の中期見通し(2005~2010年度)

2005/06/01
  1. バブル崩壊後の負の遺産の処理が進み、日本経済は最悪期を脱したかのように思える。たしかに、「失われた10年」と言われるきわめて低い成長の時代からは抜け出したであろう。しかし、70年代前半をピークとした「右肩下がりの30年」とでも呼ぶべき長期的な低下トレンドが終わったわけではない。
  2. 「右肩下がりの30年」をもたらしている最大の要因は、世帯形成の鈍化や出生数の減少である。少子高齢化は最近になって始まったわけではなく、出生率の低下は30年以上前から始まっており、その影響は年齢別の人口構成の変化を通してゆっくりとではあるが着実に日本経済に影響を及ぼしてきた。
  3. 供給面から考えると、少子化による労働投入の減少は潜在成長率を低下させる要因となるが、労働生産性の上昇によってカバーされるであろう。このため、少子高齢化や人口減少が経済に与える影響を考えるにあたっては、需要サイドへの影響についてより深く考える必要がある。この中期見通しでは、成熟型社会へ移行する中で、日本経済の中期的な展望を需要サイドから考えた。
  4. 2010年度までの日本経済は、一時的な減速はあるが、雇用不安が薄れてきた個人部門と体質改善の進んだ企業部門を中心に、平均すれば実質2%程度の成長が続く。もっとも、需要の拡大は限定的であまり高い成長は期待できない。
  5. 2005年度後半からの景気加速は2006年度も続き、デフレも解消するため、2006年度中にも量的緩和解除の可能性が出てくる。また、景気回復力の高まりを背景に消費税率引き上げの議論が本格化し、2008年4月には消費税が7%に引き上げられると想定する。2007年度には消費税率引き上げ前の駆け込み需要が発生するため成長率が押し上げられる。2008年度には、その反動から成長率は鈍化するが、97年4月の引き上げ時と違って景気の足腰が強まっているため大幅な調整には至らず、2009~2010年度も景気拡大が持続する。

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