経営戦略
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~成熟型社会での安定成長を目指す日本経済~
○最悪期を脱して新たな成長期に入った日本経済であるが、これからの10年の姿を考える上で、そこに影響する大きな流れを捉えておく必要があろう。大きな流れとしては、(1)少子高齢化と成熟型社会への移行、(2)バブルの崩壊とそこからの復活、(3)強いドル政策と世界経済の成長、が挙げられる。
○少子高齢化と成熟型社会への移行という大きな流れの中で、成長を抑制する力が徐々に増していこう。バブルの崩壊とそこからの復活という流れは、企業の財務体質や収益力の向上を背景に、しばらくは成長を加速させるが、企業を取り巻く環境が厳しさを増してくるため、しだいに勢いは落ちてくる。強いドル政策と世界経済の成長という流れは、今後も日本経済の成長を支えるであろう。ただし、米国や中国の成長の勢いがしだいに落ち着いてくるため、日本にとっての輸出環境もこれまで程は恵まれたものとならないであろう。
○2006~2010年度までの5年間の実質経済成長率は平均で+2.1%と、2001~2005年度までの平均+1.5%を上回り、潜在成長率をやや上回るペースで推移しよう。バブルの負の遺産の処理がほぼ終了し、世界経済の拡大が続くことで、企業部門を中心に景気拡大の勢いが増してくる。
○2011~2015年度までの5年間は、実質経済成長率の平均が+1.8%と緩やかな成長を維持するが、それまでの5年間と較べるとやや勢いが鈍化しよう。世界経済の成長が緩やかになって、企業を取り巻く環境が厳しくなってくることに加え、少子高齢化の進展が徐々に国内景気の下押し要因となってくる。
○これからの10年を、前半5年、後半5年と分けると、後半の方が経済環境は厳しくなる。日本経済の長期的な課題が、緩やかながらも安定的な成長を実現し、成熟型社会にふさわしい持続可能な経済システム、財政構造、社会保障などの諸制度を構築することであるならば、経済環境が恵まれているこれからの5年間の努力が重要な意味を持つことになる。