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2003-2004年米国経済見通し

2003/06/03

~景気は上向くが回復力は弱い~

  1. 米国の実質GDP成長率は、2003年:前年比プラス2.2%、2004年:同プラス2.9%を予想。
  2. 米国では2002年末以降、中東情勢の緊迫化とともに株価の下落が進み、景気は減速傾向で推移した。実質GDP成長率は2002年10-12月期に前期比年率プラス1.4%、2003年1-3月期に同プラス1.9%と、2四半期連続して1%台の低い伸びにとどまった。
  3. 景気が低調である背景として、家計部門では、雇用環境が厳しいことに加えて、2001年から実施されていた所得税減税の効果の剥落(はくらく)により所得が伸び悩んでいることがある。また、企業部門では、世界経済の減速や企業マインドの改善の遅れなどから、生産が弱含みで推移しており、設備投資も回復力が弱い状況となっている。このため、2003年前半の実質GDP成長率は2%程度の低成長にとどまるとみられる。
  4. しかし、イラク戦争の終結により、景気が上向く環境が整いつつある。家計部門では、株価の上昇や原油価格の下落に伴って、消費者マインドが改善しているほか、長期金利の低下を背景に、住宅購入は好調を持続している。また大型減税法案(今後11年間の減税総額は3,500億ドル)の成立により、今後は所得の下支えが見込まれる。GDPは所得税減税を通じて、2003年が0.4%程度、2004年が0.6%程度押し上げられると試算される。
  5. 2003年後半から2004年半ばにかけては、景気の上昇が続くとみられる。家計部門では、株価上昇を背景に消費者マインドが一段と上昇するほか、追加的な大型減税による所得の下支えなどから、個人消費の伸びは高まる。一方、企業部門では、企業マインドの改善や生産活動の活発化、企業収益の拡大により、設備投資も増加傾向で推移するとみられる。ただし、2004年後半になると、金利の上昇や在庫の積み上がりなどから、景気は減速するとみられる。
  6. このように、米国の景気は2004年に向けて上昇に向かうとみられるが、予測期間中に3.0-3.5%といわれる潜在成長率を大きく上回る伸びが持続することは期待しにくい。(1)雇用の回復が遅れること、(2)州・地方財政の悪化に伴うデフレ圧力、などを踏まえると、今後の回復テンポは緩やかになるとみられ、2004年の大統領選挙でのブッシュ再選は楽観できない情勢である。

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