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日本経済の中期見通し(2015~2030年度) ~豊かな生活と高い生産性の好循環の実現に向けて~

2016/03/07
調査部
小林 真一郎

○2010年代後半(2016~2020年度)は、2017年4月に消費税率が10%に引き上げられることで一時的に景気が悪化する可能性があるものの、2020年7月に東京オリンピック開催を控えた需要の盛り上がりやインバウンド需要による押し上げなどにより、均してみると潜在成長率をやや上回る比較的堅調なペースで景気が拡大する見込みである。実質GDP成長率の平均値は、2010年代前半(2011~2015年度)の+0.6%に対し、後半(2016~2020年度)は+0.7%と、伸び率がやや拡大する見込みである。

○2020年代前半(2021~2025年度)は、人口の減少がさらに進む中、先送りされた財政再建への取り組みや社会保障制度の改革に真剣に取り組まざるを得ない状況に追い込まれ、それらへの対応に伴って成長率も鈍化する見込みである。消費税率も2回にわたって15%まで引き上げられることになり、均してみると潜在成長率を下回る緩やかな景気拡大ペースにとどまるであろう。構造調整圧力の高まりが成長を抑制することになり、実質GDP成長率の平均値は+0.3%まで鈍化すると予想される。

○2020年代後半(2026~2030年度)は、人口の減少ペースの加速という逆境の中で、生産性の向上が一定程度進むことを背景に、成長率の上昇ペースが再び高まっていく見込みである。それまで景気の重石となってきた構造調整圧力も、徐々に緩んでくるであろう。実質GDP成長率の平均値は+0.8%となり、均してみると潜在成長率(+0.7%程度と予測)をやや上回るペースに高まると予想される。

○経済が縮小すると考えて企業が警戒感を強め、将来の生活不安に備えて家計が守りの姿勢に入ること自体が、確実に経済を縮小させることになる。しかし、設備投資や研究開発の動きが活発化し、生産性の向上や技術革新が進み、新しい産業が生み出され、さらにそれが家計にも還元され、家計もより豊かな生活を求めて需要を膨らませれば、たとえ人口が減る中にあっても経済成長率を高めて行くことは十分可能である。

調査部
主席研究員
小林 真一郎

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