経営戦略
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2022年1月11日、東京証券取引所は、4月4日からの新市場区分について、上場企業各社の市場区分選択結果を公表しました(https://www.jpx.co.jp/equities/market-restructure/results/index.html)。そのうち、流通株式時価総額など、新市場区分の上場維持基準に適合していない554社(うち、プライム市場は296社)は、「上場維持基準の適合に向けた計画書(適合計画書)」を開示することで、経過措置が適用されることとなっています。
本コラムでは、適合計画書を開示した企業に限らず、上場企業として、流通株式時価総額や売買代金の増加に向けた取り組みを進める場合のポイントを解説します。
大前提として、企業価値向上に向けてどのように取り組むのか、社内外に明確に示すことが必要です。希望的観測に基づく目標数値ではなく、会社のありたい姿を明らかにするとともに、その姿に向けてどのような取り組みを行っていくのか、具体的な計画を説明することが望ましいです。合計画書)」を開示することで、経過措置が適用されることとなっています。
成長戦略や中期経営計画は、投資家等に向けた説明資料であるとともに、経営層のコミットメントとして、社員等のモチベーション向上にもつながるものであることに注意すべきでしょう。
コーポレートガバナンス・コードを踏まえ、自社に最適なガバナンスの姿に向けて取り組みを進めることが必要です。表面的なコンプライをもって良しとするのではなく、コードの背後にある思想や考え方を踏まえ、どのような態勢が最適であるか考え、取り組むとよいでしょう。
成長戦略の具現化やリスク管理、サステナビリティ課題への対応など、さまざまな事業課題に取り組むにあたっては、個別最適を目指すのではなく、一貫した攻めと守りのガバナンスを構築し、実践することが必要になっています。
業績さえ良ければ株価はおのずとついてくる、という過去の思い込みは通用しない時代になっています。投資家等は、財務情報以上にサステナビリティ課題への対応などの非財務情報を重要視するようになっており、旧来に増して積極的なIR活動が求められています。
株主をはじめとするステークホルダーに対して、非財務情報をはじめとするさまざまな情報開示を進めるとともに、経営陣が積極的に対話を行い、そのフィードバックからIR活動のみならず、企業活動全般を改善していくことが必要です。
先の読めないVUCA1時代においては、自社の成長戦略を明確にするとともに、それを支えるガバナンスの強化に取り組むべきです。投資家等の視点は、客観的であり、社会が求める視点を反映していることから、自社の企業価値を高めるために有効な対話相手でもあることを、改めて認識すべきでしょう。
1 Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったもので、先行きが不透明で将来予測が難しい状況のこと。