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模倣品・海賊版対策の戦略体系と見える化

2009/03/09

模倣品・海賊版の重要性が十分認識されていない

  • 近年、我が国の多くの企業は、海外市場における模倣品・海賊版被害に直面するようになってきている。しかしながら、これらの対策への取り組み状況には企業ごとに差があり、全体としては、未だ十分な模倣品・海賊版対策が取られていないことが現状である。模倣品・海賊版被害は、被害全体の把握が困難であるという事情もあるが、大きな要因としては、模倣品・海賊版対策の成果が明確に認識されていないため、経営者等においても模倣品・海賊版の重要性が必ずしも十分に理解されず、結果として、多くの企業では模倣品・海賊版対策費用を十分に確保できず、満足な模倣品・海賊版対策が取れてないということが挙げられる。
  • 「知的財産推進計画2008」においても、企業経営層を中心に模倣品・海賊版対策の重要性に対する理解を促進する必要性が記されており、模倣品・海賊版が企業経営に与える悪影響の分析や企業による先進的な模倣品・海賊版対策取組事例の研究などを通じ、模倣品・海賊版対策の企業経営への貢献に関する検証を実施することにより、企業経営における模倣品・海賊版対策の重要性を訴求して、各企業において最適なレベルの模倣品・海賊版対策を実施できるようにすることが求められている。

目的を達成するための戦略体系の構築を!

  • 企業経営において、模倣品・海賊版対策の重要性を認識し、最適なマネジメントを構築していくためには、模倣品・海賊版対策の目的を明確化した上で、その目的を達成するためにどのような対策を講じるべきか、すなわち、いかなる対策を打つことでどのような直接的及び間接的な効果を挙げ、最終的な目的を達成していくか、というロジック(戦略体系)を構築することが重要である。

効果を測定する指標を設定し、成果の「見える化」を!

  • また、達成すべき効果(成果)について、効果を測るための具体的な指標と目標値を設定することが必要である。適切な目標値を設定するためには、時系列の指標データを把握し整備しておく必要がある。
  • 経営陣に対して、費用対効果をダイレクトに提示して対策の重要性を認識させることは難しいが、目的を達成するための対策と効果のロジックを視覚化することにより、取り組んでいる対策の位置付けやその効果を明らかにし、かつ、効果を説明する実績データを蓄積・提示することにより、模倣品・海賊版対策の「見える化」を図ることが可能になり、適切な資源配分や対策の決定など、最適なマネジメントを構築するためのベースになりうると考えられる。

国全体での戦略体系の構築とマネジメントが必要!

  • ただし、企業単体で実施できる模倣品・海賊版対策には制約があるので、我が国全体で模倣品・海賊版対策の戦略体系を構築し、国、企業、業界団体等がそれぞれまたは連携して担う役割や取組内容を明確化していくことが重要である。そしてその効果を定量的に把握し、評価・分析してフィードバックすることにより、より成果を上げるためのマネジメントを確立していくことが必要であると考える。

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