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ウェブが創作活動を促すのか?

2007/01/01

 2006年以降、再びインターネットに注目が集まるきっかけを作った「Web2.0」と呼ばれる新潮流は、様々な意味で「クリエイティブ」な側面を持っている。サービスどうしを「マッシュアップ」するという手法は、その用語からしてもともとは音楽の世界のものだった。
 こうした類似だけでなく、Web2.0には、「情報共有」と「繋がり」を誘発するコミュニケーションそのものがコンテンツであり、サービスの価値の源泉になっているという構図も存在している。そこから「MySpace」などのように、コンテンツに対する評価のシステムが、これまでとは異なった回路でのコンテンツ創造、流通を促すというモデルも登場しているのである。
 しかしこうしたモデルは、他方ではリスクも抱えている。Amazonのレビューなどのように、悪評が積み重なることで、コンテンツ(商品)に対するマイナスの評価が、どんどん人を遠ざけるという方向に機能したり、YouTubeなどのように、人びとのコミュニケーション欲求が、現行の著作権法に抵触したりする場合が生じ始めているのである。
 こうした出来事の背景には、日本独自の発達を遂げてきたコンテンツとインターネットの関係を支える文化がある。だが、今後のネットコンテンツ環境のよりよい発展のためには、その文化を前提にせず、ビジネスモデルの確立によるコンテンツ創造のポジティブなサイクルを回す方向へ進む必要がある。それこそが、ネットとコンテンツの良き関係を築く基盤となるからだ。

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