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現行の独立行政法人の抱える課題と改善提言

2007/04/01

 平成8年に検討が開始された独立行政法人の最大の眼目は、公的部門での新たな法人形態を導入することにより、国の事前関与・統制を極力排し、弾力的な組織・業務運営を可能にすること、加えて、行政サービスの効率性の向上、質の向上及び透明性の確保に資することにあった。数の面では、平成13年4月に最初の57の法人が発足してから、平成19年4月現在、101の法人が存在するまでに拡大してきているが、その制度の設計及び運用に関しては種々の課題が生じているのも事実である。本稿では、それらの課題を独立行政法人の基本原理(業務の公共性、組織の独立性、業務運営の自主性、透明性の確保)に照らして、①公共性に疑問のある業務の存在、②実質的に広範囲に及ぶ主務大臣の関与、③独立行政法人制度に内在する自主性の制約、④業務運営の自主性を制約する区分経理の存在、⑤機能していないインセンティブの仕組み、⑥独立行政法人の会計制度と国の予算制度の不整合、⑦損益計算と行政サービス実施コスト計算の存在意義に関する正しい認識の欠如、⑧未整備な財務諸表の体系、⑨より適切な実施が求められる業績評価、の9点に整理し、分析をしている。なかでも、事前統制重視から事後評価重視への移行を掲げる独立行政法人制度にあって、その根幹である業績評価の不十分な運用実態については強い危機感を覚えるとともに、その改善提言として、ログ・フレーム分析に基づく評価実務の定着を提言している。本稿の内容が、今後の公的部門の改革にささやかな貢献を果たすことができれば、望外の喜びである。

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