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自治体病院の経営の問題点

2007/04/01

 本稿は、39億円に及ぶ一時借入金を抱え経営破綻した夕張市立総合病院がなぜ破綻したかについて紹介をした上で、地方自治体が自治体病院を経営することの意味と限界について議論を行う。
 夕張市立総合病院の崩壊は、夕張市役所特有の問題なのか。どの自治体病院も構造的な問題点を抱えており、夕張市立総合病院と同じ構造を持っていると考える。そもそも、果たして自治体病院は必要なのか。政策の目的が明確でないから、公設「公営」か公設「民営」か、それとも「民設民営」かどの手段を選択すべきかが分からなくなる。自治体病院の政策目的はあくまで「民間の医療と併せて」地域の安全・安心のために医療を確保するために存在する。
 自治体病院の「お役所流」の中央集権的で、規則にガチガチに固められた意思決定のシステムでは病院経営はできない。医療を維持するために必要なことができない。医療の維持にとって不要なことを「あえて」する。既得権を突き崩すことができない。公設「公営」の自治体病院が、お役所仕事の病理から脱却することができれば公設「民営」であろうとなかろうと構わない。しかし、当たり前のことを当たり前にすることは簡単ではない。
 夕張市立総合病院にとっては、病院の抱える問題の解決を先送りしたことが、結局、職員や患者にとって大きな不幸を招く結果となった。今後、相当数の自治体病院が夕張市立総合病院のような悲劇を経験することになると考える。

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