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公的部門の成果主義

2007/04/01

 近年の公的部門における成果主義の進展は、公務員制度改革及び特殊法人等の改革によって現実に具体化されつつある。その手法は、これに先行すること10年の歳月をかけて進められてきた民間企業の人事制度改革がその参考とされている。公的部門と民間企業との置かれた立場や業務特性の違いによって、その方法論に多少の相違はあるものの、実際に検討されている制度の中身にさほどの違いはないと言える。むしろ、民間手法の積極導入によって公的部門に活力を与える可能性がある以上、積極的に応用を図るべきだと思われる。
 成果主義自体は、民間企業においても試行錯誤が続いているように、その導入方法には十分注意が必要である。短期志向に走らない。賃金への反映だけを考えない。結果だけでなく、その達成手段や方法といったプロセスも評価の対象と考える。人事評価の中・長期的な目的は、人材育成にあることを見落とさない。等々、正しい成果主義を実現するために、民間企業が既に経験してきたこれまでの教訓を公的部門においても最大限活かしていくことが重要である。
 成果主義の正しい運用のためには、人事部門だけではなく、現場管理者の評価スキルも含めたマネジメント・スキルの向上が鍵となる。制度の適正運用のための現場におけるきめ細かな運用ルールを組織学習していくと同時に、成果主義のパラダイムが求める真のマネジメント人材の育成を図ることが、公的部門の成果主義を実現するための近道となる。
 評価に対する心理的抵抗感を払拭し、真の成果主義実現に専心すべきである。

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