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金融における環境格差

2007/10/01

 温暖化問題など地球環境の劣化が深刻さを増す中で、その解決に社会の基礎的インフラである金融機能をもっと活用すべきだという社会からの要求が高まっている。金融機関が本来業務とする社会のお金の仲介機能を通じてお金の流れを変えて環境問題など地球社会が抱える課題の解決を進めようという動きである
 社会からの圧力も強い欧米ではすでに多くの銀行がこの問題に取り組みはじめている。銀行が環境破壊に繋がる融資をストップしたり、環境対応型事業や企業への融資を強化する、さらには、機関投資家がその投資判断にお金以外の環境などの価値基準を持ち込む動きも出てきた。
 これに対し、日本の金融機関はまだまだ遅れている。漸く問題意識をもち、環境商品などの動きは出始めたも
 のの先行する欧米との格差は大きい。元来、環境格差を解消すべき立場にある金融機関が自ら環境格差の中にあるというのでは問題である。日本は世界第二位の経済大国である。だが、その経済の多くは世界に依存して成り立っているのが実態だ。とすれば、日本の金融機関に望まれるのは世界の視点に立った環境対応である。そのためにはいま世界が悩んでいる問題は何か。何をしようとしているのか、日本に求められているのは何か。そういった問題意識をもちそのための情報活動や欧米との日常的交流も含め、まだまだやるべきことがたくさん残っている。
 世界の環境問題は深刻だ。日本は環境先進国だからそれでよいというものではない。世界で広がりつつある環境格差を解消するには世界有数の経済力をヒンターランドとする日本の金融機関に求められる責任は重い。
 日本の金融機関が世界と危機感を共有し、その潜在力を最大限発揮して世界の課題解決に多くの貢献をするときが早くやってくることを強く望みたい。

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