1. ホーム
  2. レポート
  3. レポート・コラム
  4. 機関誌(休刊中)
  5. 季刊 政策・経営研究
  6. ブータンに学ぶ国民の幸せとは

ブータンに学ぶ国民の幸せとは

2008/01/01

 所得と人々の幸福度の関係については、今までにそれほど多くの研究がされているわけではなく、その相関関係については、これからさらに議論が深まることが期待されている。所得と幸福度には、相関関係があるとする研究がある一方で、アメリカや日本などの先進国では、収入が増加した時期にも人々の幸福度はそれほど変化していないというデータも発表されている。
 ブータンは、GNHの理念のもと、国民の幸福の増大を目標とした政策がとられており、経済の発展は国民の幸福を達成するための手段のひとつと位置づけられている。ブータンは、個人が個人として認められ、尊重される社会であり、それぞれの人が自分のもつ、いくつもある役割をバランス感覚をもって果たしている。経済活動に関する役割は、いくつもある役割の一つである。
 ブータンでは、「心の余裕」や、人や自然環境との関係や、個人の役割の尊重ということが、幸福にかかわる重要な要素のように見受けられる。これらは、収入の増加と幸福度の間には、強い相関関係がないことを暗示しているようにも思われるが、ブータンにおける幸福と収入の関係については、GNHの数値化に向けた枠組み作りの完了をうけて行われるであろう調査を待たねばならない。
 経済成長それ自体を目標にしてきた日本人は、経済成長の位置づけを、国家の政策の中で、そして、個人の生活のなかでもう一度考えてみる必要があるだろう。

関連レポート

レポート