経営戦略
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持続可能な森林経営は世界的に認知された喫緊の課題であるが、グローバリゼーションが進む中での様々な外部環境の変化に対応しながら、各国で森林ガバナンス(管理)システムを発展させていく必要がある。
歴史的に見ると、日本を含む欧米先進国では、戦後大きく分けて3段階の変化を体験してきた。1つ目は1980年代からの「労働費用の上昇と低迷する木材価格」という変化、2つ目は1990年代からの「環境対応」に伴う変化、3つ目は2000年代からの「地政学的変動」である。
ヨーロッパ諸国では、これらの変化を受け容れ、苦悩しながらも、森林管理・経営システムを洗練・アップデートすることで、変化に着実に対応し、地域林業を発展させてきたことが分かった。
一方、日本はそうした変化に立ち遅れ、豊富な森林資源を有しながら木材需給率は2割程度に低迷してきた。2000年代からは、地政学的変動の影響から国産材を活用する動きが出てきたが、日本は安定的な木材供給ができないばかりか、再造林放棄などの脆弱なガバナンスの実態が露呈し、チャンスに応えることができていない。
21世紀の日本がチャンスに応え、地域林業の再生により持続可能な森林経営を実現するためには、ヨーロッパ諸国の事例に見るように、世界的な変化を受け容れることを最初に行わなければならない。
世界的変化に対応するためのグローバル・スタンダードに準じた最初の具体的取り組みとしては、森林マネジメント・マーケットの創出によるガバナンスの強化、国家森林プログラムとして位置づけられる森林・林業基本計画への地域・市民の参加型アプローチ導入の2点が有効であると思われる。