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グローバリゼーション時代の資源戦略

2008/07/01
清水 孝太郎

 グローバリゼーションの進展により、新興国の資源消費が増大している。資源開発が急がれているものの、この急速な需要増大には追いついていない。また、投機資金の流入が国際価格の押し上げに影響している。資源小国であるわが国は、「ものづくり」に必要なエネルギーや金属などをほぼ全量輸入に依存していることから、資源価格の高騰や供給の不安定化など、資源制約の顕在化による企業経営への悪影響が懸念される。
 わが国の製造業は、海外から調達した原材料に高い付加価値を加えることで利益を確保してきたが、今日の資源制約は得られる利益を縮小させつつある。一部レアメタルの供給途絶は、生産制限につながる可能性がある。このまま資源価格の高騰や供給不安が続けば、素形材産業の空洞化や技術流出、国内研究の衰退、温室効果ガスの排出量増加にもつながるおそれがある。
 わが国政府は、エネルギー分野およびレアメタル分野で供給安定化に向けた方針を示したところであるが、さまざまな資源を対象にした総合的資源戦略の策定までには至っていない。また、世界動向に関する分析機能の不足、国内から供給できる資源開発技術者の不足、国際競争力のある資源開発体制の不足などへの対応は必ずしも十分ではない。
 本論では、当座求められる対応方針と中長期的な視野に基づく対応方針を整理しつつ、わが国経済に大きな影響を与える「クリティカルメタル」の定点観測、世界に通用する資源開発技術者の育成、国際競争力のある資源開発体制の確立、わが国「ものづくり」における環境競争力の向上を目指した資源戦略のあり方を示した。

持続可能社会部
部長
清水 孝太郎

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