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国家公務員制度改革基本法の意義と課題

2008/10/01

 2008年6月、国家公務員制度改革基本法が国会で成立した。基本法は、幹部公務員の内閣一元管理などを規定し、霞が関における最大の問題といってもよいセクショナリズムの是正に挑戦している。基本法は、これまでなかなか進まなかった改革を前進させたという点で評価できるが、公務員制度改革は挫折の歴史だったことを考えると懸念も残る。改革を後退させないためには、基本法の理念と方針に基づき、新しい公務員制度の具体的な制度設計が必要である。そのための論点と具体策を整理することが本稿の基本的なテーマである。
 基本法の具体化に向けて最大の課題は、基本法が規定する幹部職員制度と管理職員制度の任命プロセスを明確にすることである。本稿では、日本版上級公務員制度(SES)の導入を提案している。SESの核心は省庁間の流動性を高めるインセンティブである。上位のグレードに就くためには、内閣府などの中心機関で業績をあげ、政府全体の見地から仕事ができる能力が求められる。
 公務員制度改革の目標は、政府のガバナンスの強化である。そのためには、政治的リーダーシップを強化するとともに、公務員の専門性の向上・政治への応答性の強化が必要である。改革の本質は政官関係の見直しにあり、その具体策がSESに他ならない。政府のガバナンスのモデルとしては、公務員がその専門性に基づき正確な分析と選択肢の提示を担い、大臣が責任を持って判断するイギリス型を志向すべきである。

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