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地域再生とひとづくり

2009/04/01

 地域再生を果たす人材を育成するにはどうすればいいか。本稿では、プロジェクト実践を通して、その難題に正面から挑み、具体的処方を提案している。昨今、情報技術を駆使して、志を同じくする人たちの新しいつながりを生み出し、自治体にも企業にも対処が難しい地域の問題解決を図る「地域情報化プロジェクト」が各地で勃興している。興味深いのは、いくつかのプロジェクトにおいて、新しい事業が次々と立ち上がったり、他地域に伝播したりしていることだ。本稿では、ネットワーク理論の援用によって、そのメカニズムを明らかにした。そして、気軽な理由で参加した一般メンバーが、何らかのきっかけで新しい事業を率いるようになり、ソーシャル・アントルプレナーとして活躍するまでのダイナミックなプロセスを描き出した。地域情報化プロジェクトでは、何かの権威にもとづく強制、命令などによるマネジメントは難しい。
 持てる資源(技術・ノウハウ、人的ネットワークなど)をオープンにして、メンバー間に互酬性の規範、信頼を醸成することが大切だ。また、成果があがるまで時間がかかるという特性もある。そのためリーダーは、いかにして多様な主体間の協働をもたらし、個益と公益の両立を実現できるプラットフォームを設計するか、アーキテクトとしての視点が求められる。本稿では、このようなリーダーを育成するために、地域の課題をテーマとしたケースメソッドと、まちづくりやボランティアなどの何らかの具体的な活動を組み合わせ、より実践的な知を創造する方策を示した。本稿が、まちづくりや政策立案に関わっておられる方々に少しでも役立てば望外の喜びである。

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