経営戦略
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モノが溢れ機能性に富む社会にあって、私たちは豊かさを謳歌している。しかし、目を転じれば、世界的な消費経済の低迷がわが国でも社会の末端にまで忍び寄り、子どもたちはと言えば、つくりあげられた仮想社会(ネット社会等)にぐいぐい引き摺り込まれているかのような危うい記事が紙面を賑わしている。
2年ほど前になるが、興味深いアンケート調査があった。『「物の豊かさ」と「心の豊かさ」のどちらを重視したいと思いますか』という質問(平成18年8月9日付、読売新聞)に対する反応である。全国都道府県知事および政令市長62名全員が「心の豊かさ」と答えていた。現下の社会状況をみれば、これは正直な心情ではないかと考える。豊かさによって子どもたちの健全な成長が妨げられ、精神的成熟が置き去りにされてはならない。国の将来を思えば、人を欺くことは卑劣なことだとする誠実な人材の供給こそ大切である。これを担うのが教育に他ならない。すでに2回実施された「全国学力・学習状況調査」の結果と同様、PISA., TIMSS.国際調査結果にしても順位を競うだけではなく、授業の改善を図り子どもの知力を一層強化する教育改革へと繋がるよう企図する必要がある。とりわけ、科学技術創造立国を標榜するわが国においては理数教育の改革が求められる。折しも次期「改訂学習指導要領」(H20.3.28.)も公表されたところである。
本稿は、少し時間を遡り「義務教育答申」(H17.10.26.中央教育審議会)および「審議経過報告」に国家的教育改革の目標を探り、社会において自立的に生きる力を培うべく知力の基盤を築くためにはどうしたらよいか、理数教育の視点から、教育改革に結び付く(特に算数、数学教育に係る)新たな機軸を述べようとするものである。