1. ホーム
  2. レポート
  3. レポート・コラム
  4. 機関誌(休刊中)
  5. 季刊 政策・経営研究
  6. 新しい学習指導要領のねらい

新しい学習指導要領のねらい

2009/04/01

 学習指導要領は昭和22年に初めて試案として公表されて以降、7回全面改定を行っている。改訂の歴史を振り返ると経験主義教育と系統主義教育という2つの大きな潮流があり、現在は系統主義教育を基調としながら経験主義教育で中心となっていた問題解決を取り入れたものとなっている。これは、「生きる力」を理念とした現行学習指導要領で総合的な学習の時間を創設し、基礎・基本の徹底と個性の伸長を調和させる教育課程の仕組みを整えたことで完成したといえる。しかし、現行学習指導要領下ではその理念を十分には実現できなかった。新学習指導要領では、21世紀社会は知識基盤社会化が進み、ますます「生きる力」が必要となると考えられることからこの理念を再び掲げることにしたが、その際、「知的活動(論理や思考)の基盤」と「コミュニケーションや感性・情緒の基盤」となる言語の役割に着目して新たに言語活動の充実を提案し「生きる力」をはぐくむことを目指したのである。さらに改正教育基本法等から要請された「伝統や文化」に関する教育の充実と、これまでも課題であり続けた「道徳教育の充実」なども新学習指導要領の重要ポイントとなっている。これは改訂の度に求められてきたものでもある。教育は社会の維持発展を担う役割を持つことから、共同体の文化や伝統を学ぶとともに、道徳で共通の価値を学ぶことを求めるのであろう。これらのねらいをよりよく実現するためには、知識や概念の活用や、自国と他国の伝統や文化をバランスよく学ぶことや、規範意識を育てるために法の「ルール」という側面と状況に応じてつくりかえるという側面を学ぶ必要があると考える。

関連レポート

レポート