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グローバル化の中の道州制

2010/01/01

 グローバル化の潮流は私の世代にとって最大の影響力を持つ出来事だし、今後も加速していくだろう。新しい国と地方のかたちを見つめ直す気運が高まっている今日、重要なのは政治と経済、ほかの諸価値全体を横断した議論、グローバル化という現実に即した議論をたてるとともに、日本や社会を「変えうる」という前向きな姿勢に立った議論である。道州制とグローバル化とは、ヒト・モノ・カネ・情報の流れを変える意味で共通しているばかりか、相互に影響しあう力である。私は、道州制とはグローバル化に対するひとつの有力な対処策であると考える。
 道州制改革の目的は、中央中心の硬直した意思決定プロセスを受益者に近い地域単位に分解して相互に政策競争を行い、グローバル化に対応する魅力的な地域を複数形成し、結果として日本全体としての競争力を高めることである。江口氏が提唱した地域主権型道州制のように、道州に立法権と徴税権を含む大幅な権限が委譲されることが前提となる。それによって自立的な経済圏としてグローバル化に対応できるばかりか、道州政府は産業政策や税制を設計することができる。本稿が特に強調したいのは、道州制改革においてはムダをなくすといったスリム化の方向だけでなく、東京もさまざまな地方も情熱を持てるようなものでなければならないということである。そのため、道州制に秘められた力を具体的に示す「関西州」ビジョンを例として取り上げた。

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