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政権交代が人事管理に及ぼす影響を考える

2010/04/01
名藤 大樹

 本論文では、2009年に起こった政権交代が、企業経営、特に「人」に関する実務に与える影響を検討する。
 2009年の政権交代により、雇用労働に関する領域において、従来にはなかった新たな政策がいくつも浮上している。政策と個々の企業内の制度は補完関係にあり、政策転換により、企業内の制度も変革を迫られる可能性が高い。人事企画・実務に携わる者は、こうした変化に的確に対応していくことが求められている。そのためには、国による福祉を、企業を通さず直接個人に届ける、といういわゆる北欧型モデルへの転換という大きな流れを理解しておく必要がある。また、民主党政権の政策には、既存の労働組合の考え方が従来よりも色濃く反映されてくる可能性も踏まえておく必要がある。
 政策転換の具体例として第一に、「子ども手当」「高校教育の無償化」といった育児・教育支援に関するものを検討し、これらは企業に生計費見合い賃金の見直しを迫る可能性があることを指摘する。第二には、派遣法の改正を取り上げる。
 派遣法の改正に対しては、企業は派遣とは別の形での非正規雇用を継続することが予想され、政策の真の狙いが実現されない懸念があると我々は想定する。企業は派遣法改正を契機に、さらなる非正規社員活用の精緻化、高度化に向かうものと思われる。

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