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2009年9月に発足した民主党政権は、「政治主導」を標榜し、政策決定の仕組みを大きく改めようとした。こうした改革はどのような文脈において理解するべきなのか。今後の政策決定の課題は何なのか。こうした点を明らかにするため、本稿では、55年体制下の日本における政策決定のパターンと主要なアクターについて説明したうえで、小泉政権における変化と、政権交代による民主党政権の登場がもたらした影響について分析する。
55年体制下の日本では、官僚・族議員主導のボトムアップ型政策決定パターンが定着していた。一方、議院内閣制の母国とされる英国では、首相・内閣主導のトップダウン型政策決定が中心となっている。言い換えれば、日本の首相のリーダーシップは相対的に弱く、英国のそれは強かったのである。こうした日英の首相のリーダーシップの相違は、主に内閣制度や政党の組織構造の相違による。すなわち、日本では与党と行政府の凝集性が低かったことが脆弱なリーダーシップを生み出した一方、英国では両者の凝集性が高かったことが強いリーダーシップを支えていた。
2001年春に登場した小泉純一郎内閣は、こうしたボトムアップ型の政策決定を改め、官邸主導のトップダウン型政策決定を導入し、構造改革を実行した。その背景としては、政治改革や中央省庁等改革といった制度改革により、与党と行政府の凝集性が一定程度高まったことが重要である。
新たに政権を取った民主党も、政治主導の政策決定の導入に大きなエネルギーを注いでいる。2010年6月の菅政権の発足も踏まえ、今後の政策決定における課題を探る。