経営戦略
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日本では基本的に住民投票は法制化されていない。しかし、その法制化されていないものが90年代以降、住民投票条例案の直接請求というかたちで盛んに住民から求められるようになっている。背景には、民意との乖離が疑われる政策に対して、これという統制手段がないことがある。そのため最後の手段として住民投票が求められているのであるが、この「代表制度の統制」という動機ゆえに、条例案の議決権を持つ議会の反発は強く、住民投票はなかなか実現していない。
しかし、そんななかでも、近年行政の事業に住民投票がブレーキをかける例も現れるようになった。民意に反する施策にブレーキがかかるようになったこと自体は評価に値するものであるが、一方でこの種の住民投票は行政の案を拒否することはできても、民意が積極的に何を望んでいるかまでは明らかにできない、という「限界」も明らかになっている。つまりは、住民投票運動に投じられたエネルギーも住民投票の実施に執行された予算も、現在の案を拒否するためだけに費やされている。
あらためて問われているのは、当初から民意に適った政策立案に努めることの重要性である。その意味で住民投票運動は、住民投票を議会に取って代らせようとしているのではなく、住民投票を不要とするような議会のあり方を求めているものと理解できる。逆説的ながら、住民投票の制度化はそのような議会を実現させるための方策のひとつと考えられるものである。