経営戦略
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3月11日の東日本大震災以来、この国をどのように立て直していくかという議論が盛んである。東電の福島第一原子力発電所の事故があったための動きとして脱原発がある。それは当面火力による代替になるだろうが、CO2排出抑制という課題から、その先には自然・再生エネルギーの活用が考えられている。長い間、生命・人間・自然・科学技術というテーマを生命の側から考えてきた者としてこの動きは歓迎である。しかし、現在の金融資本主義と科学技術文明のもつ価値観が変わらずに自然・再生エネルギー活用への転換は難しい。したがって、今必要なのは、「生命」に基盤を置く価値観への転換である。今や科学も生命論的世界観を描き出しつつあるので、この転換は新しい科学を踏まえた新しい科学技術を生み出すはずである。
ここで歴史に学ぶとすれば、明治時代の西欧文明の移入の時になる。ただしその時に主流にならなかった考え方(宮沢賢治、南方熊楠等)にこそ学ぶものがある。それは、日本の自然に根ざした文化・思想を基盤に置いており、まさに生命論的世界観とつながる。その価値観の下、最先端科学から得られる生きものについての知識を活用し、生きものに学ぶ技術を生み、産業を起こし、経済を活性化することがこの国の立て直しの具体策であろう。
そこで重要になるのは食べ物(農業・水産業)、健康(医療)、住居(林業)、知(教育)、環境、エネルギーであり、これらはすべて地産地消型産業である(工業の重要性はもちろんだが、ここでは触れない)。こうして、「ほんたふの豊かさ、幸せ」を実現することが今求められている。